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作品 - 20150218_288_7922p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


空白の多い詩集

  泥棒

重い扉を開けると
錆びついた鉄筋や鎖が
死にそびれて転がっている
窓は割れ
小さな虫たちが
西日に反射しながら
音もなく消えてゆくから
完全犯罪を終えた猫が
静かに詩を書いています。
鉄に囲まれ
猫が空白の多い詩を書いています。

屋根の上で
確かに死んだ鳥たちに
猫が口笛を吹いています。
殺風景な午後
陽が暮れると
鉛のような雲の下
猫が冬の歌を日常にのせ
口笛を吹いています。

午前中の出来事は
比喩の少ない散文となり
空白の多い
午後の街を破壊します。
何もない、意味もない、
この街には
本当はもう午前も午後もないのに
懐中電灯を買い
焼けた未来を照らし
今日も夕暮れをきれいだと言う
言ってしまう
あなたがいます。
わずかに感じることができる
季節の中で
春の歌が
鉄と同じ冷たさで
夜風に乗る。
いつかみんな
それぞれに死ぬんだね。

あなたは夏に死ねばいい、
空白を上手く使って死ねばいい、
私は秋に死ぬでしょう、
機械より正確に必ず死ぬでしょう、

猫の詩集には空白が多い。
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