髪結いの亭主が呟いていた。正確には、その男の代弁者が呟いていた。ああでもない、こうでもないと社会の不条理とやらを語っていたのだ。決して雄弁ではなく、洗練されているわけでもなく、部屋に芳香スプレーでも吹き付けているときみたいなあんな音の声で、あるいは……欲望を満たした先の満たされなさのその空虚を彼は知っている
目玉が飛び出そうなこの目の前の男は弁護士である。誰の情報も知らないくせに、個人再生だの任意整理だのといつものたまって、人の前に姿をあらわすのは決まってたったの50秒なのである。それ以外の時間については、彼の使い魔なのかなんなのか海のものとも山のものとも知れない薄汚れた生き物たちが、あの人、この人を右から左へ流れ作業で処理をしていく。そうやってダメ人間がよりダメ人間となって、世の中に送り出されるのだから、ここはダメ人間製造工場だ。でも、どうして、ど、う、して、だれも言わないのか/たすけてくれと必死の悲鳴を上げて、つめを立てて、肉をえぐるくらいに、舌を噛み切るくらいに、この世の終わりの形相ではだれも言わないか。
じっじっじぃいいいいいいいいいいいいい じ じっじいじっじいじじじじっじじじじ
じじじじじじいじっじ* *じじじじぃぃぃぃぃっぃ
*じっじじいっじじじじじいじっじいz*
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzぃじ
じっじっじぃいいいいいいいいいいいいい じ じっじいじっじいじじじじっじじじじ
じじじじじじいじっじ* *じじじじぃぃぃぃぃっぃ
*じっじじいっじじじじじいじっじいz*
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzぃじ
ここで宇宙空間の話をしてあげよう。君たちは見たことがあるかね/あったかね?黄色い花の正体を。われわれから全てを奪い去ってしまうという。その花を、自らの生き血で赤く染めたことがあるかね? 目覚めるたびに、宇宙空間で漂う自分を想像したことがあるかね。いっそ木っ端微塵になればいいとか、そういうことを言ってるんじゃあない。つまらない駄洒落さ、この前食べたコッパが抜群にうまかったからね。なんたらかんたらってシャンパンに抜群にあってた、ビールはエビスだ、ふざけんじゃねぇ、YEBISUだってば。白いほうね。こんな世の中糞食らえだ、で、黄色い花って何なのだ?
君はいつもそうだった。自分は関係ないふりして、誰かの死とか生をは関係ないふりしていきておる/って本当にそう?/いや、違う、ねぇ違うの? つめの中に残された細胞からDNA鑑定しちゃおーか・・・どうやら糖尿病注意らしいよ。
生きるほどの気力もなく死ぬほどの勇気も無くそうやってただ漂って、ただ歩んで、一体何を思うのだろう。少なくともハンドルネーム髪結いの亭主はそんなことを言っていたのだと思う。じっじっじぃいいいいいいいいいいいいい じ じっじいじっじいじじじじっじじじじ
じじじじじじいじっじ* *じじじじぃぃぃぃぃっぃ
*じっじじいっじじじじじいじっじいz*
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzぃじ今日も、奴の声が箱の中から響いてくる。それを耳障りだとはもう思わなくなった私のつめの中の細胞を明日はDNA検査にでもだそうかと呟いたところで、何かの電源が切れて、
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選出作品
作品 - 20140818_751_7618p
- [佳] ラジオネーム - 葛西佑也 (2014-08)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
ラジオネーム
葛西佑也