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作品 - 20140505_830_7434p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


建設中のふたり、と海

  深街ゆか


夜、になると淡いひかりのつぶが引き寄せられる波打ち際、にんげんは貝殻を拾っては海へ投げ拾っては海へ投げ、 を繰り返して
ふにゃふにゃになったからだじゅうの関節を砂浜に埋め( 折り重なるように横たわり)眠りのなかの夢をずらりとならんだやましい感官の餌にする( そんな唄をうたっていた)そんな唄を流行らせた時代がひとつふたつみっつ朽ちて、あたらしい標語がこどもたちの替え歌から生まれる 、を繰り返せば
まだ死んでない貝のびらびらの赤いところが悲しくて( 美しく発光する貝の)貝柱を食べたにんげんのベロのさきっちょ
夜になるとエメラルドグリーンに輝き、害虫や猫をあつめてさみしさを紛らわす ふたりになるはずのひとりとひとり、
君、という代名詞に含まれた可能性の大きさと広さですっからかんになった世界にもたれて、ひとりはひとりの髪をしゃぶる
( 発育遅れの月がぽかんと浮かんでいて)



「  君がくれた残像のおみやげ感光のお知らせ 」



このごろてんでばらばらになっちゃったあたしのあたまんなかのみっちり黒点しめつけられていた身体はいつのまにかじゆうになってつぶれてしまった本体なんてもんはさいしょからなかったって君のことばがスコンとはまる不思議なものねあたしたちあいされたいものどうしすがたがみえずてさぐりのままゆるゆる感官ひっさげていっせいに海へかけていく海にちらばるひかりどもがさんざめいているさんざめいてはじけてきえる砂浜に埋められたかんせつをほじくりかえしながらあたしは君をあんたをさがしてるんだけど最初からてんでばらばらのあたしたち不確定要素がおおすぎてふたりふたりふたりと叫んでみても潮騒にすべてかっさらわれて



三半規管にしみこんでいく黎明そこから滑りおちていくあさましい背中そしてすぐそこにある結末、おせわになりました。

文学極道

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