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作品 - 20131203_390_7174p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


(無題)

  益子



美雪の埋没した雪原の手書きの地図 お知らせの電子音が飢餓の昼に降下していく 「言
語や記号がすべてではなくてもね」 「『映像』となる私たちが置き去りにされていたの
は?」 無数の美雪が埋められている、雪原に広がる楽譜のように あなたは手を拡げる、
拡げて仰向けに倒れる そしてオルガンの音を引きずって雪の中から月が産まれる 「私
の楽譜を唾液の海に浸して、」 「音の群像はすべて同じ海に浮かぶ捨て子のようなもの
なのだ」 そうやって形成されゆく形象の陰に うず高く積まれた酸化しきった廃材 真
っ先に心の空に捨てたよ

そう、捨ててください リップクリームを塗った唇に雪解け水が口づける 「レガート、
レガート」 「ずっと、仰向けの、まま、でも目だけは、出口を探してください。コンセ
ントを、雪の中に差し込んで
             明かりを得るんだ」 彼岸も此岸もなく、美雪が埋もれてる
というだけの場所 冷たい躰が探し当てた場所 弦をひき千切って歩いて、歩いて 己の
ことなど どうでも良かった


 
 
 
 

文学極道

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