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作品 - 20131007_426_7063p

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雨が洗う

  深尾貞一郎

六月の日曜日にも
雨の日はあって
子供の口元は
ただ
青い砂糖菓子を舐める

この日もまた
ゴム手袋を嵌めた
鍬を担いだ
皆が集まった
捨てられた村の
田んぼにある
忘却された菓子袋から
消えることの無い
肉親の泪を
拾いとろうとする

濡れそぼった三毛猫にも
その滴は付いていて
ある者は
ドカチ声をあげて鍬を振り
用意した
大量の塩を頭から被った
三毛猫を追うからには
そうするべきと
皆が
口ぐちに云った

雨のなか
ひとつ置かれた椅子に座り
さしだされた手に縋ると
皆はいつしか
田畑いっぱいに広がり
米や玉葱の成長を誇る

もう
背中がさみしくないと云う
希望は
ずっと
此処にあると云う

文学極道

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