斜め射す、陽に翳る枯れ枝を引き裂く指に這う滴りがある。真珠の柔い虹彩が伝い、枯れ野に落ちて銀貨となる。(歯軋りが漏れている、私の)
銀貨を指の腹で摩り、陽の反照は冴え渡り錐のように左目を刺した。(盲いた、骨の夢)
襤褸の包みをほどき、風葬する永久歯。(ベアトリーチェもナジャも、さよなら!)
虹色の指で、なぞる、梨の皺。
骨の破片が裂いた空から、滴る脂肪で指先に、灯した燐の穂を浸す。
はしる、緋色の光が川となり、影送りされる物質の岸辺で、微笑む。あの、居もしない君が 。
―― 知っている、灰の君も、影の君も、荒地の君も、曇天の君も。光には、もう、居もしない、君のこと。
(塊が、油彩の、斑の球のような音楽の、塊が、君とか、そういう、取り返しのつかない遺失物の斑の油彩じみた音楽が、胸を破ろうとして、絶叫になろうとして凍てつく、静寂がたゆたう。(水平線みたいに、私と君の曖昧な深淵に、凍てつく、粒子らの波))
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作品 - 20130924_162_7040p
- [佳] 君へ - NORANEKO (2013-09)
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君へ
NORANEKO