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作品 - 20130606_055_6911p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


夜の風

  

夜が悪魔の姿でやって来て言った
「何もかも捨ててしまえよ」
私は新しい靴を履いて部屋を出た
どこかで赤ん坊が泣いているようだ

綺麗な花の感想を両親に聞かれて
ダ・ヴィンチの要塞都市と答えた
彼らはその思考に石を投げつけた
あの時から私は夜の中を歩いている

国籍と匂いを区別できない
資格と愛情を分離できない
青い空に浮かぶ雲はすべて怪物
だから夜の中を歩くしかなかった

暗い空には雨を孕んだ雲たち
星はすべて食い尽くされている
誰かが零した墨が微かに波打ち
我々が虚無と呼ぶものを模している

歩きまわる内に世界は迷路になり
方向も目的もすべて剥がれ落ちる
見上げれば一羽の大きな鳥が
夜への同化を拒んで飛んでいる

確信があって羽ばたいているのか
それとも単に彷徨い続けているのか
さらに深い闇を目指しているようにも
夜明けを迎えに行くようにも見える

どちらにせよ鳥は飛び続けている
ただ鳥としてあり続けるために
夜を歩こうと決意した者なら
無視することのできないフォルムで

だから私も後に続くことにする
それもまた選択のひとつだから
生まれたばかりの自分の産声を
今は明瞭に聞き取ることができる

誰にも会わずに歩き続けたい
闇を飛び続ける鳥を追いかけて
夜の風は祝福するかのように
青臭い木々の枝を震わせている

文学極道

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