階段が、坂が、川が、ゆっくりと幅を狭めて、水から炎へ、その蔓の雨から暴風に向かって、感覚を遠く、近く、また遠くへと、ねじれた船舶の直線をたわませて、神殿は太陽を覆した、階段が、また階段へと、大理石の二〇歩分を削った後の山猫、山猫が哄笑する、高く、低く、レンガのように、残る静けさのひびの川岸に宿る球体としての追悼
(上端と下端とが繊毛で縁どられて 中央部に歯のようなものが乱立する 短さの力さえ分からない反戦の夜は終わった 傷だらけの朝焼けの空の窪みから次の窪みまで 杉と岩と鳥と家とそれらの分母から染み込んでくるやかましい産褥 お前たちの机と机の意志と机の意志の引用に俺は手を結んで耐えている)
弱くて縮れている、そして憂国の被害を楽しんでいる、さらに北へと移住し、落魄し、高騰する、欅の大腿部をなぞって、そのざらつきと健やかな痛みと反復を、鹿々の睥睨と比較し、平行に、垂直に、よこたわる、都市の第一層の一階の屋根まで立ち上り挫折し、今度は昇天し殲滅される、都市の塔が展開され組み立てられ再び空となった、旅人よ、旅人よ、大旅人よ
(尖端部で気流が拡散するのを小箱にまとめ込む 小箱を彩る未来の神々の毛髪の匂いに焚きつけられた四角と五角との苛め合い 始まった瞬間に始まりが終わりまた新たな始まりが始まった 脂肪が開闢し骨格が無化しそこから斜めに伸びた途中の五億光年が切り立つように話し合っている)
大地が、大地とその下層にある無数の遺伝子たちが、遺伝子とその上層にある唯一の松の木が、いくつも巨大な十字を切り、二個の清潔な宗教を食した、空にまで行かないその途中の風のすみかに、鳥とその羽の捜索が、雲とその塵の改革が、製鉄工場で射出されたまま鋳造に至る憂鬱を凌いでいる、巨大なバクテリアからその無意識の高熱を噂にすると、鋭く固まった山猫の足音が叛乱し、撞着する
(ここから二歩進んで御覧なさい 右足でも左足でも頭でもかまわない その二歩に至る運動から落とされていく影の移ろいから変えられていく地面の温度から費やされていくお前の覚醒 青春の圧接された変電器具の配線の赤と青の色の隙間に束ねられた神殿の釘 死ぬのかな 死ぬのかな どこまでも伝染していけ戒厳令)
踊る、脚を曲げ、手を曲げ、体を斜めに、体を回転させ、呼吸の流れを妖しい天気の名のもとに、腕の筋肉の開発と再開発から滴ってきた脳の休息、睡眠、悪夢、搾取、一つ一つの茎を折っていく仕草に絡み取られた後にしがみついた哀悼、再び躓き始めた冬の一時間
(融合する暇もないまま代わりに化合した 乗車券に記名されたことと母の日に離婚されたことと衰弱の果てに皆勤賞をもらったことと 横にされたカラーボックスに足をかけ すぐ近くにある山頂にさらに一足 そこから四個目の恒星に志願したが手続きは破棄された 小哲学を切り刻み刻まれた後に残った牛の香りにいつまでも漂っている)
最新情報
選出作品
作品 - 20130211_487_6690p
- [優] シベリウス 交響曲第六番第四楽章 - zero (2013-02)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
シベリウス 交響曲第六番第四楽章
zero