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作品 - 20130111_840_6620p

  • [優]  覚書 - Lisaco  (2013-01)

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覚書

  Lisaco

深夜、愛情から一番遠い場所で犬の瞳をのぞく
眼球は真冬の夜空にとけそうに蒼く澄んで

眠れないままいつしか眠り
パーティが台無しになる夢を見る
恋人の手が背中に当てられたところで目覚める

毎晩、駐車場で待っていた子猫がいなくなった日を誰も知らない
そんな世界で
わたし、たちは
黒く降る雪を白く隠喩する

(きっと明日の朝も)

食卓ではミルクがつがれ
仔牛たちの瞳からこぼれたひかりをのみこむ
埋葬される無数の春から
凍土の上で眠る冬までを、

金色に実る穂が続く道に
家があると信じていた
今よりも10センチ背が低かった

雨の日には雨音が
少しだけ世界の輪郭をやわらかくして
うそとほんとうの狭間に
泥濘ができていた

愛情から一番遠い場所で
届かない祈りを祈る

朝には小鳥のさえずりが
少しだけ一日を明るくして

(やさしい乾きとちいさな日陰を)

文学極道

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