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作品 - 20130107_718_6606p

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two prose.

  

 



【塵】

いつか隕石学者がやって来て、新種発見だと騒ぎ、ひとつの呼び名を与えるのかもしれない。ほうぼうに散らばるおれのかけらに。土星だった頃は周りを高速で回転する環の存在など気にもしなかった。闇から吹き狂う風と引力とのバランスを取りながら、軌道に沿って廻りつづけていさえすればよかったのだ。今では飛来した巨大な隕石によって粉々に砕かれ、空間中をさまよいながら、どこへ向かっているのかもわからないままに、表面温度は徐々に失われはじめている。このまま急激にどこかで廻りつづける惑星へと引き寄せられ、環を構成していたおびただしい塵と化した場合、天文学者はおれを何と名付けるだろう。発見するだろうか。







【目】

目を見ていた。伏し目がちな女の目を。おれを見上げる時の目が何より魅力的だった。水晶体に埋め込まれた漆黒のダイヤ。一つの完全な円を描いてたたずむ、潤みがちな瞳孔が麗しく輝いていた。おれは女を心から欲した。逢うたびに抱きしめ、そして見つめた。女も見つめていた。しかしある日、女は突然倒れこみ、抱き起こし呼び掛けようとも、すでに心臓の鼓動は聞こえず、一切反応を返さなくなっていた。瞬時の出来事だった。あまりにもあっけない幕切れに、女の亡骸のそばでおれはただ茫然とするしかなかった。開ききったままの女の目には真っ青な冬晴れの空が広がり、その中でおれは一本の木のように立ちすくんだままだった。

文学極道

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