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作品 - 20121217_390_6556p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


愛と汚辱と死と詩

  右肩

 俺がこの
 雷鳴轟く国に後ろ暗く帰趨し
 呑み込み難い大目玉を呑み
 破廉恥な音声の円錐形が
 そのとき、あのときのように
 喉に着火し
 糸杉の林よ
 太腿よ
 股間にきらめく悪意の陽射しよ
 お前の記憶のあれに
 黄ばんだ犬歯の鍵盤が
 音階を羅列して揃い
 苦いシンフォニーを噛み千切れば
 頭蓋内部に隆起する漆黒の山脈
 その穢れた稜線を
 火が走り炎の曼珠沙華が奔り
 焼ける天界の大魚、人の
 指
 肉や髪を焼く臭いを纏うお前の指で
 俺は激しく射精し
 一隅も残さず赤光する冥界
 言葉が無闇に鳴り響けば
 切られたあれらの首が
 泥塗れの前頭野に密集するのだ
 これこそ
 胎内の結石に封印される言霊の王国の実体に
 ホカナラナイ


  二度と歩けない足もとに
  微細な死の点が次々に打たれ
  ぽろぽろと
  ばらばらと
  盆地の街が
  やがて時雨れる

  (時雨るるや 地にこまごまと雨の染み)

  夢より軽い雨が
  京都を通り過ぎる
  右手中指の
  爪もまた
  割れている
 
  愛は人のカタチに集積する時間の
  薄暗い破片である
  という着想を得た

文学極道

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