俺がこの
雷鳴轟く国に後ろ暗く帰趨し
呑み込み難い大目玉を呑み
破廉恥な音声の円錐形が
そのとき、あのときのように
喉に着火し
糸杉の林よ
太腿よ
股間にきらめく悪意の陽射しよ
お前の記憶のあれに
黄ばんだ犬歯の鍵盤が
音階を羅列して揃い
苦いシンフォニーを噛み千切れば
頭蓋内部に隆起する漆黒の山脈
その穢れた稜線を
火が走り炎の曼珠沙華が奔り
焼ける天界の大魚、人の
指
肉や髪を焼く臭いを纏うお前の指で
俺は激しく射精し
一隅も残さず赤光する冥界
言葉が無闇に鳴り響けば
切られたあれらの首が
泥塗れの前頭野に密集するのだ
これこそ
胎内の結石に封印される言霊の王国の実体に
ホカナラナイ
二度と歩けない足もとに
微細な死の点が次々に打たれ
ぽろぽろと
ばらばらと
盆地の街が
やがて時雨れる
(時雨るるや 地にこまごまと雨の染み)
夢より軽い雨が
京都を通り過ぎる
右手中指の
爪もまた
割れている
愛は人のカタチに集積する時間の
薄暗い破片である
という着想を得た
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選出作品
作品 - 20121217_390_6556p
- [佳] 愛と汚辱と死と詩 - 右肩 (2012-12)
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愛と汚辱と死と詩
右肩