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作品 - 20121109_488_6463p

  • [佳]   - 黒髪  (2012-11)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


  黒髪

石ころ形の悲しみを硫酸に溶かしてあぶくにしようぜ
悲しみを減らしたい心という、他者のメロディーを奏でてさ
石ころに語らせて耳をじっとすますんだ

津波が海の中に引き込んだ
魚は喋らなくても視線をそそいでいるだろ
モーターサイクルボーイよ、つんざくエンジンで、おびえをかき消して
饒舌な音を、あたりにこだまさせて

歳月が
重いスポンジケーキみたいな物だったら、誰も持てない
心配の多い心はわからない
化学プラントを壊して爆発を起こすみたいな破壊衝動、注目されるほど痛い

僕の口を被っていた黒いカーテンは、今記憶だけを覆う
コントロールのきかないインビジブルの
色をみるために切り裂く、ナイフで
パックリと口を開いた記憶の中に昨日の血がつく

悲しみは水よりも軽い
見てみぬふりと黒メガネで覆われてきた物事の意味を、縫い付けるための糸が、繭からつむぎ出されている
空に上って空気に紛れるまでに悲しみが溶かし出されたら
ああ神様のところに届いて
叩きつけるような雨が人を犯す
同じことが繰り返される
雨上がりの道路の輝きや架かる虹は美しい逆理
少し空気の成分が変わったのは
魚の減少と関係がある
海の底を見通せる魚眼は
認識の甘さに警告の光を発する
最後の守備兵である魚達が泡を吐いている

文学極道

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