月のてる庭
日本の庭である為に
目の青さ拒む
まるでディランの舌
荒れ切ったきみの
黒くなるまで鍬を入れた
秋の空気ささやく
悲しむなら今の内に
しずくが雨に濡れる
日本
まだはいはいもできない
でもキスも見た新宿
きみが欲しかった
季語も知っているし
夕立の中でもきみとわかる
傘
あじさい これは夏の季語
ほろほろとよつちまちった
聖書をめくる
わたしに関係ないことばかり
ときどきイエスが死ぬ
尻から血がでてくる
台風を報せる
尻のことじゃなく 水が貯まっている
銃声を一生
わたしはきくことなく
ブローティガンと里芋くらい離れている
古池や
おしなべてひかりのさす
入水しているもの 塵
こおろぎや 小さないのち
血という字の皿の上にのっている点くらい
西行
さくらさくらさくら
若者はしろい兎を買う
ネルシャツ
竹の春 はためくもの
民意
風呂
もう大分時間が経つ
シャワーの音まであたたかい
カメラが瞬く
わたしがもっと小さくしても
きみが大きくしてしまう
プール
プールの銀河
プールの銀河 わたしの顔
合格した
免許証は使えない
秘密は紫のケースで冬を待つ
マイクになって
夏と秋がこんがらがるまで(季語が)
声の音をきく
痔や
秋が色づくとか
きみが話すけど
終わりかな
最初に書いたことを忘れたし
紙にもこう書いてある 朝寒
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選出作品
作品 - 20120925_408_6367p
- [佳] Haiku - 田中並 (2012-09)
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Haiku
田中並