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田中並

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

  • [佳]  Haiku  (2012-09)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


Haiku

  田中並

 
 
 月のてる庭
日本の庭である為に
目の青さ拒む


 まるでディランの舌
荒れ切ったきみの
黒くなるまで鍬を入れた


 秋の空気ささやく
悲しむなら今の内に
しずくが雨に濡れる


 日本
まだはいはいもできない
でもキスも見た新宿


 きみが欲しかった
季語も知っているし
夕立の中でもきみとわかる


 傘
あじさい これは夏の季語
ほろほろとよつちまちった


 聖書をめくる
わたしに関係ないことばかり
ときどきイエスが死ぬ


 尻から血がでてくる
台風を報せる
尻のことじゃなく 水が貯まっている


銃声を一生
わたしはきくことなく
ブローティガンと里芋くらい離れている


 古池や
おしなべてひかりのさす
入水しているもの 塵


こおろぎや 小さないのち
血という字の皿の上にのっている点くらい


西行
さくらさくらさくら
若者はしろい兎を買う


 ネルシャツ
竹の春 はためくもの
民意


風呂
もう大分時間が経つ
シャワーの音まであたたかい


カメラが瞬く
わたしがもっと小さくしても
きみが大きくしてしまう


プール
プールの銀河
プールの銀河 わたしの顔


合格した
免許証は使えない
秘密は紫のケースで冬を待つ


 マイクになって
夏と秋がこんがらがるまで(季語が)
声の音をきく


痔や
秋が色づくとか
きみが話すけど


終わりかな
最初に書いたことを忘れたし
紙にもこう書いてある 朝寒

 

文学極道

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