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作品 - 20120302_733_5907p

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散歩道 〜green days〜

  熊尾英治

朝、道を自転車で走りながら何事かを考える。曇天の空と鼠色の在り来りな取り合せをいつものことだと、何度も何度も塗り潰すようにするうちにいつか黒い夜になるだろう。夜はいつも湿っていた。道のことをそれ以外に形容する人が誰もいなかったからかもしれない。それでも皆夜を知っていた。テレビで外のことは語られていたから、夜とは覚束無い電灯の点滅であり車の黒い唸りであり、そして何よりも朝、自転車で走ったはずの道のことだった。夜、道は湿っていたから夜とは湿る物だと誰もが言っていた。それでも湿っているのはなぜか自分一人のように思えるのは、食事の後皆で寝たとしても眠りはそれぞれの人に別々に訪れるからだろうか。湿った顔目唇、朝起きてパジャマのように丸一日かけ乾かす。何を乾かすのだ一体道に訪れる湿りを乾かすのか?体を乾かすに決まっている。だが夜に体がべっとり湿っているのはなぜだろう。夜、きっと道に出て眠りの外を彷徨っている私がいる。

文学極道

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