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作品 - 20111003_510_5585p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


撃ち抜く

  美裏

夏休みの終わり
風は生暖かく
頬につつーっと汗が一筋、流れる
もうすぐ雨が降るのかもしれない
セミはそのことを知っているのか
薄暗くなりかけた空にますます狂気じみた絶叫を繰り返す
わたしは
部屋で撃ち抜いた
撃ち抜かれたそいつはと言えば
ごとりと落下して今は床で這いつくばっている
うつ伏せで表情は確認、出来ない
わたしはベッドに腰掛けた最初の姿勢のままそれを見つめていた
いち、にい、さん…
動かない
はい死亡確認
ようやくわたしはちいさなため息をついて安堵する
手元のマンガ雑誌を手繰り寄せてめくる
曇り空の午後
雨は降るのかなあ?
…………
今日、何度目のことだろう
わたしは部屋の中を移動するそいつの音を聞いた
顔を上げると同時にその音は止んだ
わたしは最小限の動作で部屋の中を見回した
天井の一角にそいつの姿を確認した
わたしは視線を外さずに標準を合わせる
これから先、起こることがすでに起こった後のことのように感じられるのだ
実際、わたしはそいつを撃ち抜いた
びたんと一度、壁に大きく貼り付きのっぺりと剥がれて床に落ちた
死んだ?
そいつがさっきまでいた天井には
血痕が散らばるように広がっていた
わたしはカルピスを飲みに台所へ向かった
原液をコップに注いで、薄めて
その最中、さまざまなことを思った
けして愉快ではない

文学極道

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