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作品 - 20110917_809_5543p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


蝮のピッピ

  大ちゃん

ピッピの鳥篭に
とぐろを巻いた蝮が
静かに佇んでいる
消化が進まないので
脱出できないでいる

昔抱いた女の
内股に彫られていた
タトゥーのそれと
良く似ていた

ああなんて
可哀想な俺
唯一の話相手を
丸呑みにされてしまった

いつも
「ピッピ、俺のこと好きか?」
て聞くと
「ピッピ ダータンノコト トゥキ トゥッキー ピヒョルルリラー。」
て鳴いてくれてた
そんなピッピを食らいやがって

糞垂れ蛇め!
篭ごと燃やして
分子レベルで
リサイクルしてやる

険しい顔で
蝮を覗き込むと
蝮のほうでも
俺を覗き込んでいた

「大ちゃんノコト、トゥッキー シャシャシャシャシャー。」
「ピッピ、生きていたの。」
「大トゥッキー シャシャシャシャシャー。」

それからまた
俺とピッピの
愛の暮らしが始まった

俺は生きている蝿の
手足と羽根をもぎ取り
舌の上に盛って
口移ししたり

ネズミの煮汁を
筆一杯に含んで
乳首に塗りたくって
舐めてもらったりした

「大ちゃん、ウレシー シャシャシャシャシャー。」
ピッピも喜んでいた

仕事が辛い時でも
ピッピのあの
愛しげな眼を見ると
みんなぶっ飛んでしまった

ある日
逆鱗に触れぬよう
優しくワンウエイに
背中を撫でていると
うれしい変化があった

「もうすぐ羽根が生えて来るよ。うまく飛べるといいね。」
ピッピは少し戸惑っていた

「明日お祝いに、あそこにピアスをしてあげる。」
「・・・大ちゃん、ウレシー? シャシャシャシャー。」
「ついでにタトゥーも入れてあげるね。」
「・・・・・・・・・・。」
ピッピも喜んでいた

次の日の朝
ピッピはいなくなってた
きっと
ドラゴンだとか
スカイフィッシュになって
飛び立って行ったんだ

大空の自由を堪能したら
また帰っておいでよ

それまで俺は窓辺で
口をアングリコ
ピッピの大好きなアレ
メガ盛りにして
いつまでも待っています

日本晴れの空から
君の声が聞こえるようだ
可愛いピッピ
俺のピッピ
小鳥のピッピ

文学極道

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