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作品 - 20110723_972_5392p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ギロチン

  yuko

ここはとても静かで
足先をつたが這う
ふいに
吹く風に
あなたの
くるぶしが露わになり
血管が脈打つ
その
とき、


にならない文字が
空間を壊して
耳元に咲く花に
口吻を差し入れた虫たち
風にこぼれていくスカート
せわしない羽音と
振動が重なり合って、
速まっていく
予感、

ひかりを、
反射する水面は
氷壁に覆われていく
ざくざくと
歩いては
爆弾を埋めた
足に
絡まりあうつたのような


からだじゅうを
流れていく冷たい
血液
が泡立って
わたしは
地平線よりも低い
眠りにつく


などしないのだ
よ、きみ
に弾け飛ばされた眼球が
ぐるりとあたりを見回し
て、
いる(切れた血管と
はだかの真昼
)壊れて、
倍音の夢をみる
夜明け


もげた両足を
結わえ
きっと誰も悪くないのだと
死ぬ
ごとにわたしの
水位が下がり
あなたには
もう瞼すらなくて
なにもかもが明るい、
夜を、
待ち望んでいる

ここはとても静かで
足先をつたが這う
あなたの
スカートをまくりあげた、
爆風
を、掴んで
飛んでいく虫たちは
きっと
春の身振りで
氷壁を溶かす
艶やかな髪先を落としていく

文学極道

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