あなたは
きつく抱き締めたけど
わたしが
蝉の抜け殻のように
ぐしゃりと潰れる前に
そっと緩めた
わたしより
ひとまわり年を取った
その腕は
口をつぐんでしまうから
音色のない小さな声を
ひとつずつ
読むしかない
まだ朝は来ていない
チャコールグレイの夜が
姫君のペチコートのように
さらさらと
透明な波紋を立てて
揺れている
心臓を潰さない程度まで
ぎりぎり力を入れた
硬い腕
浅い呼吸
あなたが作る小さな檻に
手を伸ばしてそっと
鍵をかける
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選出作品
作品 - 20110405_609_5123p
- [佳] 小さな檻 - とうどうせいら (2011-04)
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小さな檻
とうどうせいら