森を抜けると、
あたりは一面の
花、が、光のようで。
手折る指先を責める
細胞が赤く染まっていく
ねえきみ、
馬鹿げているだろう
こんなにたくさんの花を抱いて
足を引きずって歩くのは
いいか
誰もゆるさなくていい
骨のない傘を
刺すことも
掲げることもない
透明化した組織に
骨が青く透けて
蝶の羽ばたきが
止まることはない
左手が裁断する
右手は縦断する
溶けていく箱舟を
祈ることはない
眠らない
土壁が崩れていく
呼吸のように
音が漏れる
ねえきみ、
馬鹿げているだろう
こんなにたくさんの花を抱いて
それがきみには見えなくて
森を抜けると
あたりは一面の
花、が、光のようで。
手折る指先を責める
のは、誰なのか
きみの森に火をかける
そして焼け跡で
金属を拾って
溶け残った骨を
植えたなら
ぼくはきっとすべてではない
たましいよ
漱がれていけ
光あれ、
花は生まれない
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選出作品
作品 - 20101229_890_4925p
- [佳] 花々 - yuko (2010-12)
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花々
yuko