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作品 - 20101206_568_4880p

  • [佳]   - 早奈朗  (2010-12)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


  早奈朗

ぼくは 詩になりたい ことばのすべてになりたい みずではさんしたい 5おく個を けしつぶすぞ。 おまえらのわきざしをおるぞ。山はだからくだってくる詩のやまもろともせかいや街にぶつけてしまえ。そしたらわれたところからのめるみずがどくどくとでてくるだろうから、のんだらきりにしてはいてしまおう。ふんむ器になろう。川どこになり、きざもう。雪をたたえよう。あたらしくであう道すじのために1キロあるかなくてはならない。あるいた先には、みずがふき出、口から岩がつぎつぎに生まれる。ふりさいていけ、いわ。つきなみもいわがしまもすべて転がして、あなにおとしてしまおう。そこから海があいて大地ひらめく。のがれる小なみのあしからとどく手になっていく。ふんさいしていけよ、あな。きみがおってたつんだぞ、あな。ふかくあさくところどころ波になりながら、しずくがみなもにはじけていく受けとめの場所だ、穴。きつつきもねんえきをのこしながら生まれきたる。宝石もたくさん生まれるから、買いあさることはない。土を売りとばしながら売りあげのことばになろう。なみになって消えてしまおう。さかなをばんさんとして、夜はくらくなる。むりやりにでもあかるくして、夜間を“ひるま”といつわって、うごきまわるわにになりしっぽをふりまわそう。いきおいのあまりしゅごしんをはかいしよう。もちろんしゅごしんのはかいにことばはいらない。かわりに火がいるね。だい二指だけもえさかってすべてに火をつけてこう。もえたたせてこう。ざんしんはかいのアイディアをおもいつこう。そしたらそこからうみになり、ふかくはまる。ふかくおちつく。

ぼくはぜんぶになろう ぜんぶになればたのしい ぜんぶになればつきづきしい 掘りゆきてみずになる みずになったらごみになる 愛軍といって あいぼうの鴨をよぶ たいぐんの鴨をよぶ ぼくのことばはさいこうだ あいぐんといおう 砂にながれよう ひとしずくがひと波に そしてだいまおうが長崎に いって何をする? 行ってかりをする すずめをかるぞ さんば よんわ ごせんびき かって 空にはなとう。雪ぐさりになろう。雪のかたりぐさになろう。しぶがきの皮がはくらくしていけば みえるのは目と 歯 芽と 葉 いまは のびるなよ。 がまんしろよ わに。 がまんしろよ おまえたち。 雪のちぐさ。 名前のない花。 きょうちくとうのそばで くきのかたちをして 揺れている。 もーふぃんの そばのかたちを いっしょうけんめい ゆきは はつめいして ぼくたちに 食わせてくれる。 しかくくちぐさになって どこまでも 食わせてくれる。 ねえ さけ。 ねえ さかな。 ねえ すべてのものたち。 さけはどうくうの? さかなはどういうなまえなの? 風がたち、 ぬかたが起き、 風はどういう名前をまとえばいいのか分からないように、ぼくはすべてになりゆくためにまずいっこの名前が定まらない。口を開けてあるくために、龍の名前がぼくにはひつようだ。だから名前をあけてよぼう、りゅう、こい。みどりをみるな、うまをふめ、からだでながしたら保つために二おくかいちりしけ、さながらロードのようにな。ごみさっきんのようにな。 塔をこわしていったら 国税局から でもね あなた しゅうふくしなさい もしくはしゅうふくひをながしなさい と いわれるから わかった といって しゅうふくのためのぬのをあつめて とうきょうドームをつくる。 でも これは ちがうよね だけど わたし こうきゅうだから ありがたくうけとっておくわ。 おたっしが ついたのは1ヶ月ごで とうきょうドーム12こぶんは 土のなかで成長している。 12ねんご からをやぶって出てくる とうきょうドーム12こぶんこ。 そこには 花があるかな 歴史があるかな 川がながれるみぞはできているだろうか できていたら だれがつくるのだろうか ひとがつくった 水から できあがった ひとが ぼうきゅうのために いっしょうけんめい やまとたにを けんせつしたよ。 「やぶるためになにをみればいい?」 「やぶるためにこれをみればいいです」 「ひとか」 「いいえ ちずです。」 「ちずならやぶれるじゃないか このように。」 「いいえ。 やぶってはいけなかった」 「そうとも。 知ってるさ」 「知っているけれど」 「きみははげたかになれないたいぷ ぼくは山やはげたかや みどりのはけがくもをえがくすがたになるのさ」 「わたしは点呼のかかりだから 点呼をします。いち にがみつからない」 「にはみつけたよ とってきたよ。これははげたかのえもの わたしははげたか きものを着たはげたか」 「じゃあわたしはさんせん」 「山川だね。やまになってかわになって、じゃあわたしははげたかと同時に谷になろう うえから見る したでながれる ながれるのはきみか」 「わたしはきろくがかりだから ながれるのもきみでいい。そして文字になればいい」 「文字になりとび立つんだな はねをひろげて ながれてゆけるんだな。 さあ」 「つながるの?」 「はばたくよ」 「まいごみになるよ」 「ひろげよう とり。やま。かわ。たに。」 「きこえないだろうふうあつで あなたのしたから もぐりだすさまざまなせいめいの 谷や かわや 山が おお波になりとぎれる」 「ながれてゆけると いっただろう。」 「海においがするから」 「粉のよろこびがかたまりになって海に投げられるね」 「浜なんてうつくしい」 「みどりなんてな」 「名前はりゅうだから」 「はかいしていこうか」 「あかさたなになっていこうか」 「それは砂になるということ」 「夜になるということ」 「りゅうはかたちをもって火をふくよ」 「服はめらめらだ 焼けただれて」 「もちろんみずになるのさ からだのみぞからあふれだすよ」 「ぼくはレモンのようだ」 「ぼくはレモンになる」 「ちょうになり」 「ため息になろう。」 「すべてになろう からだをひろげて すべてのことばを入れよう 服になる 息になる こどもになる ひよどりになる ものすごくなる。冷たい川のすじが 山はだまでふれるよ。そこに街ができるよ。そしたら たおすよ。」 たかのりゅうきだから しまりゅうをもって すべてのくるまがくどうするさき 川がもしも割れたら 文字がわれる われたところからりゅうがのぼって 記憶をはこんでく。ぼくの名前はりゅうだ だから 名前のうごく通りに 腕をふりまわして 火災を起こして みるみるうちにちぢんでいく。 いっぱくご のびていく。 まじないのせいかかな さかなのひあがったのかな スタンプがいっこずつ出来て いっこずつ押していこう。川ながれのりゅうになるのなら ずいぶん楽だから うろこ 取れるたび 生えていって たくさんのうろこが川どこにしきつもり「ぼくは貝づかだ」といっている。 「なるほど きみは貝づかだ。」「きみはなんなの」 「ぼくはりゅうでなくなった だから みまもっている」 「見まもり隊か でも ふん火するよな」 「ええ こんなふうに。どおーん」 「ああ ふん火した。これが 火の うみだ。」 「そうだとも 剣は 王の いかり。ぼくは りゅうの なごり。」 「ふっかざんだね」 「ふっかざんだ よってたつぞ」 「ならばあざやかにしょうれいしよう」 「しょうれいしてみせろ 鐘。」 みずがはだにいたくないか、りゅう。つかれたらやすんでいい。雲のしたで、あおく舌をながせばいい。 火は都会にあつまるから、ぎょうしゅくされて、肩ならしに振りまわされる。 「もう りゅうでなければ いみがないね。」 「ぼくはりゅうだ りゅうだったものが そのままりゅうになる そのまま違うなまえになる」 「名前をはぎ取ってやる」 「はぎ取られた」 「それでもなにか言えるか」 「いえる」 「たとえばどんなことが」 「たとえばさくらのことが」 「たとえばさくらのことか 橋をかけるんだな。」 「橋が すこし みずにぬれて」 「いわなくてもわかる」 「わからせない」 「さくらふぶき」 「氷ふぶき」 「ふぶく夜はきけんですからお下がりください」 「どこまでも 下がったよ。りゅうだから その名前がはぎ取られても、池のどこかに落ちてるはずだから」 「おまえはりゅうであるまえはりゅうでなかった」 「そうかな りゅうであったよ」 「それはだましだ」 「めくらましさ さくらの道さ。」 「さくらがふぶいてるよ」 「雪もふっているよ」 「しかしふっているな」 「しかしふっているね。」 「お前はりゅうか」 「ちがう」 「ではなんだ」 「ではなんだ」 「ではなんだ」 「ではなんだ」 「お前はりゅうか」 「そうだ」 「そうであるならば」 「うん」 「剣をぬきとられよ」 「剣はもってないよ なくしちゃったよ とちゅうの池に落としたから そこで名前もひろってきたから」 「りゅうめ」 「りゅうだよ」 「まちをはかいしやがって」 「とうきょうドームもはかいするよ やまも ゆきもはかいするよ ぼくはりゅうという名前をとり戻したもの」 「つぎはうばってやるぞ」 「桜ふぶき」 「わたしは橋かけだ」 「そうだろうと思っていた」 「橋をかけてやるぞ」.

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