君も この熱気の中にいてくれれば…
僕はドーナツ工場で働いている
砂糖の匂いと小麦粉と化学物質を吸う
そのことが無言の話題となっている
卵を÷と黄身が二つある
よくあることだ
だぶ付いた牛乳で溶かしてしまう
強くて甘い臭気
華氏のドーナツは膨れ
危険な夢を暗ますように
あなたの目蓋も閉じるのだろう
そして
もしかしたら?
もし 君もこの熱気の中にいてくれたら…
今日も工場長は素成メーターをチェックするのだった
血色の良い赤ら顔の
家では濃い牛乳を飲んでいる男だ
とある
曇り空の朝のこと
僕が
眠たい目をこすって工場に行くと
もう
機械はじぃじぃと呻っていて
そんな疎んじられた頃合に
咳かされる様な
君をよく想うのだ
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選出作品
作品 - 20101118_226_4837p
- [佳] 工場 - 熊尾英治 (2010-11)
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工場
熊尾英治