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作品 - 20100301_101_4217p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


日の生まれていく、日の、

  黒木みーあ

月曜、
まどろみ。
喉元に触れる夕日には
失くしてまったことを
いくつか思い出す
手を、重ね合わせると
途端に夜が落ちてきた
おやすみの
言葉だけが乾いて響く



火曜、
あなたと性を入れ替える
あなたはわたしに
男だけが持つ雄々しさを教えてくれた
わたしはあなたに
女だけがもつ妖艶を
誰にも聞こえないように耳打ちをする
向かい合って背中を合わせる
見えないところが
見えないように



水曜、
季節に生まれた言葉を
いくつかさがす
見つけるたびに
うたを歌った
とてもやさしい、うただった
そんな、あなたは
幾度も暮れる日を
大きな手でたたむと
わたしに、そっと差し出し
思い出をくれた



木曜、
抱きしめ合うと
わたしもあなたになれた
あなたもわたしになれたと言い
それから
共に性を失った
何もかもが突然で
何もかもが自然に思えた
陽はまるく
限りなく、赤い



金曜、
眠れないわたしの代わりに
あなたが眠る
今にも落ちてきそうな
金色の月
あなたの髪の手触りに
再び現れるまどろみに
明日を忘れる
息を吐くと
白く滲んだ



土曜、
なかなか止まない雨が止んだ
束の間の晴れ
くちびるを伝う
あなたはわたしで
わたしがあなた
互いに
変わらないことを笑い合う



日曜、
愛してる、
それ以外の
すべてを忘れる
それだけあれば事足りると
無言の手が
わたしを掴む
見送る日が過ぎて
見つめる日が
巡り、はじまる

文学極道

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