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作品 - 20091202_919_3999p

  • [佳]  (無題) - イモコ  (2009-12)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


(無題)

  イモコ

考えるのを放棄した各々の髪の毛の考えるにおいのする白紙のページが
耳たぶの一番つめたいところをかすめてとんでいった、のよ

ふでばこの口を三本の指の腹で優しくあけると
むずがるようにきゅとなったあと
すごく気持ちいいみたいにへにゃとなる
あきらめたみたいにもみえる
何を言っているのか分からない

数学の時間 語りかけてくる黒板なんて
丸無視で、夢中になってふでばこの口を
何度も何度も指の腹でなぞっては
三本の指でおしあけるの
ものすごく押し倒すのに似てる、やわらか
確かにあれは夢の中
夢中だった

何度もおしあけてるのに
中に触れないのはあんまりだ、
うずもれた鉛筆が指の先に触れる
エバーミングされた幼い少女みたいな頬
手にとり、力なく
握った

鉛筆からわきでる葉
芽吹いたりめぶかなかったり
数学のノートいっぱいに茎をひろげ葉をひろげ
だけれど決して根ははらない
つなぎとめる根がないから ないから
茎も葉も少しずつ
ヘリウムを入れられるみたく
ふぁふぁとうきあがって
ノートに曲線のかげをおとす

柔らかな
今にも拡散しそうなたよりない、かげ

空気みたいにしゅるっとすする
細い糸の群れが舌の上をかけてゆくのびてゆく

文学極道

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