声は
その音を、
探して
広がる
空白の中
ひとりぼっちなの
という呟き
そこには
流れている
血が、
空調を保ち
海のない
ところを
船の
帰れない
渡航だけが
こだましていて
きっと、
また作り出せる
その手は
何処から生まれたか
知らない
船頭は
船首には
いない
見送るとき、
いつも拍子抜け
で
波に
右往左往しながら
舵は動かない
足元から
揺れている
けれど
すぐに凪いだ
誰も知らない
燃えている
船の
血化粧を
飲み込んでいくのだ
小瓶一つ
帰ってこない
船は
もう、青白い
ここに
叫ばれて
破砕し、
溶けていく
帰ってきている
のを知らず、
船を作る
根元の
見えない手に
遮られて、
「ひとりなの」
声は、
広がらない
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選出作品
作品 - 20091107_165_3926p
- [佳] 脳裡 - 破片 (2009-11)
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脳裡
破片