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作品 - 20090803_853_3681p

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メークレイン

  破片

まっしろな、
日の下を、自覚した、
旅している真昼に
飽きないか、と聞くと
飽きてはない、慣れただけさ、
と流暢な言語をくれ、
足元の、
歩みを見やると、
君と同じか、という
呟きが、
裏側へと、降り注いだ。

かつて、歌は鷲になり、
はるかに、
緑の稜線を、越えて、
境をなくした、
真昼は、それをみてこう言ったという、
「何度、同じ、翼が焼け落ちたことだろう」
そう感じるなら、
まひる、お前は姿を消せ。

ゆっくりと、夜が、
明るく感じられる、
ことばたちは、
月を、
なりきれない贈呈とは思わない、
ところから生まれ、
その裏側には、
ニセモノを、悪く言わない、
象徴が、
それならせめて、
何もかもを盲いたほうがいい、と
明るい、夜を、照らし出した、

統べた鷲の翼が、おちてくる、
かがやかしさは、
点々、と、覆っていく、
恵みと呼び、
両手に着地した、
うすく、むらさきの、
大気はあたたかく、湿されて、

潤いを求め、
けれども、
雨を欲さない生物、
突き動かしようもなく、
濡れてしまう、
そして、雨に
屈辱させられ、
もらう、溢れだす潤い、
手一杯の量、以上を見ない。
憂いは同調するのに、
思惑が、次元を分かつ、

雨が降るのだ、
降ってくるのを、見つけた、
ビルの屋上、精一杯、柵を越えて、
私は待っていようと思う、
雨を降らせる者、
を。

鉄扉の、錆びた、動作と、

小刀の、生れた、閃光は、

とうめいなひとかげを、
待ち望んでいた、
雫の質量を、こわし、
真っ赤なあたたかみが、
ぬけていく頃、
雨は降りしきる、

わたしが、雨を、ふらせて、

文学極道

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