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作品 - 20090602_805_3563p

  • [佳]   - 如月  (2009-06)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


  如月


記憶の先端が
わたしを貫いていく
遠い、名前が
ささくれて
喉をふるわせる
空、は見ない
白い手首に確かな
透明で青い血管
があるから

 ・ 

街はパズルみたいで
まるで
はじめから何もかも
あったみたいに
新しい、が並べられて
錆びついた古い、の
隙間を
過ぎ去ってゆく声の鳴る
街が
いっそう
整頓されてゆくから
部屋は少し
散らかってるぐらいが
落ち着くの
白い手首をじっと
見つめていたら
確かに
血管は美しく
透きとおってるから

 ・

夜へ進化してゆく街の
瞬く中心は
パズルみたいに
おいしかったパスタ屋さんの
名前を思い出せないから
わたし
新しいお店の名前を
いくつか覚えたよ

 /
白い確かな、
手首に
血管が透明で
覚えてますか?
わたしの、消えない。
せめて
うまれたばかりの
からだのままで
どうか、
鮮やかに貫いて
 / 

見て、ほら
新しいお店が
また
いっぱい
できたみたいだから
今度、
一緒に行こうよ
 
 
 
 

文学極道

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