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作品 - 20090406_892_3448p

  • [佳]  言葉 - ぱぱぱ・ららら  (2009-04)

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言葉

  ぱぱぱ・ららら

偉そうな言葉は
僕の中には存在しない
と言いたい
 
再発見とでも言うべきか
それとも
幸せとでも言うべきか
 
僕は生まれる
言葉によって
それから
言葉によって死ぬ
 
 告白すると、僕は言葉を書き終える度に、もう二度と言葉なんて書きたくないと思う。インクが乾いたとたん、胸がむかつく、とベケットは言っていたそうだ。僕も同じ様に思う。それでも彼は書き続けた。ただ言葉を。マーフィーも、モロイも、マウロンも、それから名前の無いものも、語り続けた。シオランは、世界は絶望のきわみだ、と言い続け、そして、それでも生き続けた。書き続けながら。言葉を。
 
君はなんのために書くのか?
言葉を
ここで今更ながら
断っておくが
これは詩じゃない
言葉だ
それは太陽でも
愛でも
絶望でも
なんでもない
 
 僕はなんのために書くのか。これは僕自信に対する問いだ。別に内側を知りたい訳じゃない。僕は輪郭が知りたいんだ。ここでレズニコフやカーヴァーの言葉を引用してもいいのだし、それが僕のやり方かも知れないけれど、辞めておく。これは僕の言葉を捜す言葉だから。でも僕は僕の言葉よりも彼らの言葉の方が大事だ。僕の言葉なんて嫌いだ。
 
何も書くべきものは無いように思う
初めから。
それでも
僕は書いている。
なぜ?
またベケットに登場してもらうとすると、
彼の『名づけえぬもの』では、
無の中で
ただ無目的に喋りまくり、
さあ、続けよう。で本は終わる。
これは絶望か?
これは無か?
 
 僕が書くのは剥き出しの言葉だ。なにも引き合いに出してはいないし、隠してもいない。僕が海と書くとき、それは海で、僕が愛と書くとき、それは愛であって欲しい。
 
君が書くのは
詩か?
 
僕が書くのは
言葉だ
 
それは
そこら辺に落ちてる石にすぎない
 
石は絶望か?
石は無か?
 
 シオランは長い間、不眠症に悩まされ続けた。彼は言う。もし私が朝から働かなくてはいけない状況で生活していたのなら、きっと自殺していただろう、と。僕は不眠症で、朝から仕事が待っている。僕は死すべき人間なのだろう。野獣だし。なんて言うつもりはない。でも書いた。消すつもりはない。
 
もう書くべき言葉が思い付かない
振りをして
終わろう
いつだって
終わらなければならないのなら
僕だけがそこから
逃れるなんてことは出来ない
逆もまたそうだ
 
さあ、終わりにしよう
 
僕は言葉だ

文学極道

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