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作品 - 20090314_549_3388p

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なまえ

  寒月

地下街へ下る階段の途中で
さみしい という言葉が泣いていた
なまえは と聞くと寂しいという
では だれのさみしいですかと聞くと
名前と電話番号を教えてくれた
さみしいは地下鉄に乗り
しずかに家へ帰った

掃除のおばさんが困っていた
愛がひとりぼっちで眠っている
はいて捨てるわけにもいかなくてね と
だれの愛ですか
分からないという
では 最初に見つけた人のもの
おばさんはにっこり笑って
いいわよと答えた

さみしいはいつか
かならず電話するといってひとりで帰り
愛はおばさんと一緒に仕事をしている

その日会う 女の人に 花を買う
名前と誕生をそえて
赤い薔薇を渡し
見つけてください
あなたを見つけたように ぼくを

初めて 声に出し なまえを
言う

文学極道

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