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作品 - 20080903_247_2998p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


折り鶴

  緋維

懐かしさに購入した千代紙で、ツルを折ってみた
きれいにとがった側をしっぽにして 最後に羽を開く
手のひらに転がる一羽のツルは まるで見慣れたそれで
  それでも、
幼い頃は感じなかった思いが 傷口に染みて 眠らせていく 遠くへ

くっきりと手折られたツルに 何をおもうのだろう
ツルの背中に とすり、 大切な 大切な 何かが 乗っていて
飛び立つのですか
あなた、
飛び立つのですか
私を 置いて
あなたと私
その 時間的な隙間の中で
どれだけの 思いを 乗せそびれたろう

夏の暑さは それさえもが 隅に追いやられてしまうのは
手のひらに転がるこの一羽のツルが あまりにも 軽いから
決して 飛び立ちは 致しません
この、 手折られた、 私の、
そこに、 何を、 見たのですか

窓の外に広がるのが、どうか青空でありますように
手のひらに無責任に転がっている一羽のツルに、終わる夏の意味はありますか



  ――ねえ きっと
     彼女は美しくなることなんて望んでいなかった
    ただ 彼女はそうして 感じていたかった
                   それでも、 

文学極道

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