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作品 - 20080325_014_2675p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


四月の海

  凪葉

今日は晴れ
泳ぐ魚が見えるくらい
水は透きとおっていて
四月のあたたかい太陽は
その水をきらきらと宝石にかえてしまう
これじゃ眩しすぎて
とてもじゃないけど入れないから
とりあえず、
今日のところはゆられていよう
 
 
空には、綿雲がわたわたとひろがり
奥行を描きだしている
その中を海鳥が
のんびりと、眠りながら飛んでいる
わたしは、
海鳥たちの名前を頭にうかべながら
砂浜に寝転がる
カモメ、うみねこ、
カモメ、うみねこ、
あまり間近で見たことがないからかもしれない
うまく、違いがわからなかった
 
 
風通しのよい胸が
今日に限って心地がいい
不思議と、気づかないうちに
波音が耳の中にあって
遠音のようにしんしんと
わたしのなかに響いてくる
時折波の合間を
海鳥たちの声が飛び交う
一体、なにを
話しているのだろう
 
 
空気を切る
音がきこえて
通りすぎる風、
ちいさく
砂ぼこりが舞いあがり
わたしは、慌てて起き上がる
ふいに、地平線、
どこまでも続く
青い鏡が瞳に宿る
 
 
今朝、
起きてすぐの予報を思い出す
気持ちは、
変わってはいない
明日の予報は、雨
もしその通りなら
わたしはたぶん
明日、この海になるんだ
 

文学極道

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