どんぐりたちが
屋根を踏み鳴らす遊びをやめたのは
いつだったか
秋の荷物が届かないまま
木々が、ほの暗い空へと
細い腕を伸ばしている
*
街はいつの間にか
切り絵のような
会釈で溢れ返っている
おはようございます
おはようございます
そうやって
いくつもの切り絵が
切り立ったビルの窓に
貼り付いていく
*
12月の雨が、
降ることを止めようとしないから
秋の荷物は置き去りにされている
もう届く事はないだろう
冬の言葉を知らないまま
雨に触れる指先は
初雪の夢を見ている
伸ばした腕の先には
空、ばかりが続いて
*
街はいつでも
いつの間にか
いくつもの
切り絵でいっぱいだ
お疲れ様です
お疲れ様でした
そう言って
いつの間にか
私の切り絵が街の片隅に
貼り付けられていた
剥がれる事も
剥がされる事も、
ないだろう
*
母の手の温度で
染み渡っていく夕日の中
はたはたと舞うコウモリを
追わなくなったのは
いつかの夏、の事
12月の雨が止む頃には
春の歌は歌えない
子供の頃の折り紙が
続いていく、空を
舞っていく
追いかけなくなったのは
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選出作品
作品 - 20080108_565_2535p
- [佳] 12月の雨 - 如月 (2008-01)
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12月の雨
如月