喫茶店のブレンドコーヒー
うずをえがくミルクなんてごめんだった
人工的な甘味を加えるさとうみたいなもんなんて 論外
照明のオレンジのあかり
なんだか見覚えがあるんだけどなあ かわりばえのないだらんと延びきった感覚のなか、
店員の「ごゆっくり」の笑顔
ああ そうだ
歯医者のらいとに似てるんだろ
寝てやるよ
違うって 眠ってやるんだ
ぼくは鳥
せかいにあさひをゆらすのは
ぼくのこえ
ゆめにいつくしみを
ぬれたつちのにおいにかんじる つまるおもい
うちゅうになみだをおとすのは
よごしちゃったんだよ
すな ていどならたべてあげようか
ぼくは とり
駅にひっついている図書館
親子連れの膨大さ
品揃えに文句をつける中年女性
笑いながら対応する係員
虚空の中に受験生
なあ それ さあ
金庫に埋まってんだって
まみどりなきぎにあこがれなんかいだかない
だってぼくは とり
それ そのもの
ぼくは このよでたぶんゆいいつの そのもの それじたい
どう?
いとおしいでしょう
しろいあさひがなつかしいくせにきいろいよるをもとめるのはどういうりくつなんだろう
でも ぼくは
うん いいんだ
きにしないことにきめたんだ
今思えば 先刻の喫茶店でね
深刻そうな面持ちで
Sサイズのコーヒーに
漫画から飛び出したとしか思えないビジュアルのサラリーマンが
シロップを3個も入れやがった
いかれてんだ、あいつ
電車の時間はとっくに過ぎた
田舎のここは
次の電車が2時間後だってさあ
うん 悪くない
悪くないな
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選出作品
作品 - 20080108_563_2534p
- [佳] ライタップ、エン、ダンス - 緋維 (2008-01)
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ライタップ、エン、ダンス
緋維