鳥を捨て
こころではない
こころではない
と
言い募る
風の
涯
舞い落ちないものを悲しんだ
調整のために
空けられた
一行
かつて一身に受けた風力に引き延ばされていた
自転車でスピードを落とさずに坂道を上ってゆくための
たったそれだけでいいのに
濡らしたはずの指先にはもう感触がない
あえぎながらも
支えつづけろ
腕が攣りそうになっても伸ばしたまま走ってゆけ
空を指して
ああ
この指とまれ
この指にとまれよ
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