山には長い影が生えている
手のかたちをして無数に
あどけない美術品のような
その一つ一つを
踏みつけてあるいている
熱のない松明からは
果実に似た嫌なにおいがしている
ほのおが沸騰し
弾けた火の粉は下草を汚す前に
蒸発してしまった
地面を埋め尽くす金木犀の花弁
の柔らかく湿った感触
低い太陽と眼が合い
へたり込む
ああ、重力だ
雪がふってくるぞ
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選出作品
作品 - 20071220_269_2508p
- [佳] 道が暗い - 月見里司 (2007-12)
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道が暗い
月見里司