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作品 - 20070202_905_1814p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


共有地/インターセクション

  コントラ


遠くなる
日差しをはじく
アルミ屋根の集落と
陥没したアスファルトの
水たまりに映る
草の根の

においを含んだ空気
錆びたバスは三車線のインターセクションに
横づけになり
ガードレールが雨に濡れている

共有地を背にしている
あの娘がくれた
ビーズの飾りと
飴玉の入った紙袋

フロントガラスが映す
熱帯の植生は
青ざめていて、深い

バスに乗ってあとにした
農道脇のターミナル
と、雑居ビルが交互配置する
首都の
三車線の
排水構を埋める
灰色の雨水と
とうもろこしの芯

記入された住所、たとえばある場所に
住んでいることは、輸送によって、液
状化され、かくはんされ、梱包された

ラベルの消えた炭酸水
を買い、手のひらに小さなコインを受けとる
よごれたブラウスの売り子が
俯いている
雨に濡れている
三車線のインターセクション

思い出すことは
いくつもの合流/分岐と
湿っぽい首都のコンクリート
輸送されることが
生の表質に
未分化の日程を
書きこむとすれば

朝は夜になり、夜は朝になり
タイル張りの床で
ハンモックに揺れらているあの娘は
ガラス窓の鉄格子に
星空が流れこみ
寝息をたてている
雑貨屋の二階、の薄闇

から、夜行バスで着いた、早朝の
インターセクションで
バスが横づけになった
三車線の
雨上がりの、朝

くもったガラスの外では
砂袋を担いだ
共有地の男女が
首都のあちこちに散らばる作業所へ
音もなく、移動している

文学極道

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