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作品 - 20060522_084_1278p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


春、翼燃す 春

  椎葉一晃

能う全てを
走る そこで別のお前 恭しく擡ぐ疾走の春
おはよう川の神 その能う全てを お前の全て
の力をだ お前の望むように 俺はもたぐ物 
かい走する明日のその影に産まれたんだ 燃え
る女のリネンのケープ燃えながら走る女が「い
いえあなたは川の神、番う者、辺縁の全ての」
糜爛した辺縁の全ての皮膚まとい 俺は まと
う女が その春の燃えながら体燃えながら駆け
る女の消火するため後追い駆ける男(そうだ彼
は体焼き燃す女を消火するために女の後追う鉄
の男だ!)
壊乱する明日の痕跡に一輪の薔薇挿した(彼が
)挿した一輪の
ある日、駅前の一等地 都市の大商業地区に一
輪の薔薇が現れた。それは
それです、体焼き燃やし走る女 あたし出現し
ました。あたし一人阿鼻地獄!同時に彼は川の
神と番う者、俺は 待て女!「街を商業地区に
する気か!」
足跡を踏み出す 一歩 おはよう川の神 その
水面を私たち全てはすべった 子供たちの投げ
出した石の打つ水紋を 吐瀉された眼があふれ
る羹の上を、いつか海へ出てしまう いいえ私
は「川の神、と番う者」ですか?
都市の大商業地区 梅田のファッションビルを
焼身の女が駆け、男が「追っている、あの女を
消火するつもりで、リネンのケープが灼き付く
前に」
あなたはそれでいいだろう、だが私はどうなる
?この知らせ知らす私は?
「ほら」街を街たる意味に殺ぐ 太陽が我々を
切り分けるもう少し手前、線状に交錯するあの
激烈なる微笑の断面にガラスのように辱められ
るその前に 街だ、お早う川の神「あたしは身
を燃し焼き上げる女」お気に召しまして、川の
神、おはよう川の神、その能う全てを、お前の
全てだ、産まれたんだ、リネンのケープ燃して、
壊走する明日の影の痕跡に、お前は消火するん
だ、俺たち燃え回る子供を、のたうち傷開く、
予定されたあらゆる傷開く─美しい子供たちだ
! 

文学極道

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