「水の中に落とされる、彼女の命名。
傷痕の赭に、朽ち錆びる時計。」 沈黙の、
こごまった「水深の中で、娑羅の、 「二人に科せられた名前。
太陽に背いている。白い、腕「咲き」の
二人には、ふるえる、水。」 盲目の花。」
シフォンのたなびいた、ひとつの、失効。 赤すぎてしまった花。
ほつれていく、「心音と 「その狂花の中の砂塵に、
似た名前。」
写しこんでいく。」光線をとりあつめて、
「そこは海だったのだと、あなたは言った。
きざまれる、秒針に、私は換えていく。」
「散沫に乱されていく、
あなた」の肌の隙間から、じきに、 「望まれぬ夕べ、子供のころの、
「暗い砂の交叉にかき消されていく 彼女の「咲き」。
僕らの、一握する呼吸。」 私たちの街に、世界が焼けていった。
「僕らは、左手にいたのだった。 枯れ果てた名前を、摘むように。
シオンの園に眠りながら。」
もう、「見ることのできない、 「地平線の、腕のなるときに、
光彩の深い、波打ちぎわに咲く。 それは偏差となって、河となって、
盲目に赤すぎてしまった花、沈黙。」 微笑と軸とに、
空-殻の層に落とされていく。」 金属の、響く周波に、私は換えていく。
「二人に科せられた名前、 「いくらかの罪を、
あなた」は知っていた? 赤砂の振動へと分けて、」
ふるえる、水。
「僕らの、堕胎する言葉たち 彼らは、心音を分けてしまった。
剥き出しのまま執行される、 水抄を、船の後方へと。
時効なき名前。」 巡る砂塵を、体温を、遠ざけるように。」
「海であった、二人の、「呼吸する交線、その先がふれ合って、
散らばってゆく、ひとつ。 停まり、また沈んでしまう。」
記名なまま、太陽に背いて。」
握り合うままに、消えていった、」 「焼ける、その煙を吸って、
僕らの、赦しあう子供たち。 「肺の中の痛みを覚えている。
私は秒針を換えていく。」
微傷に侵されていく、 「水につけられた肌の延長を、
波ぎわを、保存するために。 科せられた花の名を、摘むように。」
「いくらかの罪を、
私たちのザイオンへ分けるように。」
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選出作品
作品 - 20060512_895_1253p
- [優] カイン - Nizzzy (2006-05)
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カイン
Nizzzy