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作品 - 20060512_895_1253p

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カイン

  Nizzzy


「水の中に落とされる、彼女の命名。
傷痕の赭に、朽ち錆びる時計。」   沈黙の、  
こごまった「水深の中で、娑羅の、 「二人に科せられた名前。
太陽に背いている。白い、腕「咲き」の
二人には、ふるえる、水。」     盲目の花。」

シフォンのたなびいた、ひとつの、失効。 赤すぎてしまった花。
ほつれていく、「心音と    「その狂花の中の砂塵に、
                似た名前。」
写しこんでいく。」光線をとりあつめて、     
       「そこは海だったのだと、あなたは言った。  
きざまれる、秒針に、私は換えていく。」  

「散沫に乱されていく、        
あなた」の肌の隙間から、じきに、 「望まれぬ夕べ、子供のころの、
「暗い砂の交叉にかき消されていく  彼女の「咲き」。
 僕らの、一握する呼吸。」 私たちの街に、世界が焼けていった。
「僕らは、左手にいたのだった。 枯れ果てた名前を、摘むように。
 シオンの園に眠りながら。」

もう、「見ることのできない、 「地平線の、腕のなるときに、
光彩の深い、波打ちぎわに咲く。 それは偏差となって、河となって、
盲目に赤すぎてしまった花、沈黙。」 微笑と軸とに、
空-殻の層に落とされていく。」  金属の、響く周波に、私は換えていく。
「二人に科せられた名前、   「いくらかの罪を、
 あなた」は知っていた?    赤砂の振動へと分けて、」
 ふるえる、水。

「僕らの、堕胎する言葉たち   彼らは、心音を分けてしまった。
剥き出しのまま執行される、  水抄を、船の後方へと。
時効なき名前。」    巡る砂塵を、体温を、遠ざけるように。」
「海であった、二人の、「呼吸する交線、その先がふれ合って、
散らばってゆく、ひとつ。  停まり、また沈んでしまう。」
              記名なまま、太陽に背いて。」

握り合うままに、消えていった、」  「焼ける、その煙を吸って、
僕らの、赦しあう子供たち。  「肺の中の痛みを覚えている。
                私は秒針を換えていく。」
微傷に侵されていく、 「水につけられた肌の延長を、
波ぎわを、保存するために。   科せられた花の名を、摘むように。」
「いくらかの罪を、
 私たちのザイオンへ分けるように。」

文学極道

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