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作品 - 20060509_839_1245p

  • [佳]  蝶々 - 樫やすお  (2006-05)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


蝶々

  樫やすお

また私の、悲しい試みが笑われたそれは私が
ちゃくせきしていると僅かな沈黙を隠すため
に仕方なくわき起こるものなのだが私はそれ
に耐えなければならなかった、沈黙に
                 遠く及
ばない地点から海がはじまっている」そこか
ら水源までの距離を踏査しつくしたものは誰
一人としていないしかし「かつての地上」か
らそれを絵に納めようとした何人かの見知ら
ぬ友人たちが歩きはじめたのもあるいはこの
地点であったかもしれない。


見つからない
      一つの木陰ががやつれた私には
必要だったのに/(多くの時間を費やして蹲
っている最果てで)結局むすばれることのな
かったむなしい宙を埋める試みに「沈黙であ
ったがゆえに」跳梁する私たちは電線に引っ
かかっていた……


「朝起きたときにはもう朝は過ぎていて、そ
の日の朝刊にはたくさんの事件のことが載っ
ているのだが私は構わない何が起ころうと、
私を助け出すか他人を助け出すかそれはどち
らもふさわしく思われるのだが、」何より大
切であったのはこの蝶/ここを自由に行き来
する

  
羽音に合わせてりんぷんが部屋に満たされた
私の呼気はやがて高まってベランダでたばこ
を吸っていた見知らぬ友人が砂を一握り下さ
った。

文学極道

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