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作品 - 20060413_997_1160p

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セメンダイン

  Nizzzy


かあさんが言ってた、樹がはえたんだって、
私のぬけたところに、彼女はうごけないんだって

セメンダイン、平行線、彼女の筆跡、
はりつけてしまったら、水晶みたいにみえた

雪原、からだの、何もないところ
流れでて、うばいあって、うめあった場所

私がいる、からだの、何もないところ
セメンダインくっつけて、霧のなか、
なんだってかまわなかった、水晶みたいにみえた

かあさん 僕らから、オオカミは翔けていった
並びたつ木々が、ひとつずつ、とおく、黒く、流れていった

遠ぼえはいってしまった、どこかで、煙のにおいがした

赤い樹、彼女の、うごけないところ、
からだのぬけたところに、私がうめた場所、
セメンダイン、平行線、彼女の、筆跡

そして冬になって、僕らから、なにもなくなって、
むかし樹のあったところには、雪のおとだけがしている

しみこんでいく、セメンダイン、かたくなってしまう
はがそうとして、爪のばした、低くうなりながら

うごかない、彼女の、思いだせなかった場所、
流れでて、うばいあった、私のところ

彼女の、からだの、なかったところ

文学極道

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