ペダルを返してく
橋の下で車輪が転がって
そのままうろうろと水草が揺れているあたりまではまりこむ
固い手すりにこすれた手でもちあげようとしても
あがらない
水辺が日と移り
絶え間なくマンホールに転ぶひとたちが
朝に
私んちの木を折ってった
水がしみてきて
これもまた
立ちあがろうとしなかった
(古い牛乳瓶を拾う)
そのかすれた緑色の文字は
夏に歯を見せあって
私の知らない遊びが
ぶちわっているオタマジャクシの
目のない顔を
少しだけわらい
思いがけず集められた河原でながいこと
殴りあっていた
(ペンキのしたの廊下でぽしょり)
すたすたと歩く先生の跡から
ふるえている
土管のなかでのように輝くしずくを点々と
しぼり
すべて干されてしまうまで
音がする
と
見送った
(夜が近づいているよと言われた)
胸がすっと
風にのり おくれ
遠くのガレージで
シャッターのしまる高い「音がする」
と
私がハッとして
見ていた
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選出作品
作品 - 20060411_932_1150p
- [佳] ほころぶひとみ - 樫やすお (2006-04)
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ほころぶひとみ
樫やすお