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作品 - 20060325_443_1088p

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残響のように

  

夕暮れの波頭が残響のように聞こえる海だ
いま遊歩道の人影が石レンガに染み込まれていく
様々な影は様々な影だ
気になれば影はどれも元気に動いている
少し怖かったのは黙って石に染み込んでしまった影だ
それは本当に年とった人の影だろう

高みからとんびが餌を狙っている
とんびだって飛行機の真似をする
それを情けないと思うと
とんびは慌てて水平飛行を止めて
蠢く波をなじるように
海を覗くのだ
魚は 魚はと
その問いかけは誰にとっても涙ではない

海の漂着物にはオブジェのようなものもあった
どこから来たのかとその可愛い靴を返してみると
小さな靴なのにゴムに彫りがしてある使い物の靴だ
飾り物ではないのなら
これは涙と思うしかない

文学極道

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