青みはじめた土手
たぶん名前くらいはある草
いちいち葉をめくって
不安でも隠してないか調べる
何しろ ここは急な斜面だ
君は相変わらず眼鏡で
フレームだけが季節ごとに変わる
どうやら君にも春が来たらしい
レンズと瞳の間で
たくさんの蕾が揺れているよ
ダンボールのソリで滑るのを
頑なに拒む理由はなんだろう
珍しくスカートをはいているから?
珍しくパーマをかけているから?
それとも ありふれたことは悲しいから?
草を摘み取ってポケットに詰める
青い匂いを君に着せておく
緑に染まった爪
太陽にかざして
ここに置き忘れていいような
たぶん名前くらいはある手
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