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作品 - 20051121_440_762p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


じぃちゃんへ。

  雀絽

うすい

じぃちゃんは
しょっぱいものが
嫌いみたいだった

ばぁちゃんのつくった
味噌汁にお湯を注ぎ足しては
濃い濃いと言っていた


うすい

じぃちゃんの
後頭部、
光があたると
ぴかり、ぴかぴか、
髪の毛が 産毛に見えた

それでも散髪屋に行って
髪を撫でてくる
ばぁちゃんは
意味ない意味ないと
何度も言っていた


うすい

じぃちゃんの
老人という自覚
まだまだ これから

青春がこれからだといいのに、と
ばぁちゃんは言ったけれど
じぃちゃんたちの青春がこれからなら
私は まだ ここにいなかったのかな



じぃちゃん
じぃちゃん、

ばぁちゃん

けれども
じぃちゃん、



そんな うすいガウンなら
風邪をひいてしまうから

白髪の透き通る 色
以前の黒の色が記憶のよう
白髪頭になるにつれ、
たくさんのことを忘れているよう

いつか 忘れてしまうのではないかな
いつか 何もわからなくなってしまって
いつか じぃちゃんが忘れても


ねぇ じぃちゃん。

そんなうすっぺらな気持ちじゃないよ
私のじぃちゃん大好きは

なぁ、じぃちゃん。


そんな うすいガウンなら
風邪をひいてしまうから


じぃちゃんの後頭部
また うすくなったみたい
きれいにひかってる

文学極道

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