空の大きなバケツがひっくり返ったら
広いはずの世界も一度に水浸し
神様の大きな腕によって
洗い流されるべきものについて
あなたは数え上げるだけ無駄だと笑うけれども
雨が洗い流せるのは
せいぜい側溝に逃げ込んだ落ち葉くらいのもの
それすら鬱積すれば
水の流れを堰き止めるだろうと
あなたは傘を投げ出して行こうとするけれども
こんな日は偉大な循環について
考えるべきだと思うの
つまり
決して乾くことのない戦場から
せめて血液の匂いを洗ってやれないかと
バケツはひっくり返るが
水は一般市民の遺体で目詰まりした街から
流れることが出来ず
神様は次の手を打つ
わざとらしく雲を蹴散らして
血液もろとも蒸発させるわけ
それらを
少しも傷つかないふりをしている
街の空に降らす
つまり
平和ボケしたから次は戦争がしたいと
望んでいる人の需要を満たせないものかと
あなたの
口を開けて歩く癖が
直らなければいいと思っている
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鈴川夕伽莉