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作品 - 20051017_641_629p

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川辺にて

  

川辺を歩くことにした
遠くから女の人が自転車の音で
せせらぎを運んでくれた
空には白い月が
バニラアイスのような待ちわび人
川をのぼる
つがいのカラスが餌をついばみ合っている
それを野草の小さな赤い花が祈るように見つめる
橋に着くとやきとりの匂いが鼻に付く
カラスに食わせてやればよかった
橋を折り返し地点にして
川をくだる
やがて森にさしかかると
ある筈もない銀杏の匂いがする
やきとりより腐った木の実を食べていたい
民家のあたりで
はっとひきしまった白い犬の目
口から舌を出しよだれを垂らす
食べたいのだろう
そして下流のほうへ
たくさんのすすきの穂がなびいている
が、私はちっとも寂しくない
そこに自生する柿の木の数多の色づき
川の散歩の終わりどき
夕日に胸が染まる

文学極道

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