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作品 - 20050822_410_421p

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冬のくじら

  丘 光平


   知っている
   朝を焼く音を あれは
   鳥たちの羽ばたき

   そして
   気づいている 
   羽を貫く冬を それがきみの
   最も正しい姿勢だ


     *


   屋根に降り積もる 雪
   私の中に降り続く 雪

   ならば
   雪に願いを立て
   雨と流れてゆけ


    *


   いたるところ
   息のけがれた雨はある
   息を枯らした川がある

   北行きの風に
   海のありかを尋ねたなら
   潮は来るだろう

    おお らおお らあ
    おお らおお らあ

   私はくじらだ
   波を伝ってゆけ


     *


   かつて
   海に閉じ込めた 母
   母を迎え入れた 海

   くじらは鳴いた
   救い出したなら
   帰ってよいのかと

   海はこたえた
   星たちとの語らいに
   陸の言葉はいらないと


     *


   時の頂きを泳ぎ
   星の海に羽ばたくものは 
   ふりむかない

   冬の最果て
   夜よ 
   白く咲いてゆけ

文学極道

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