#目次

最新情報


選出作品

作品 - 20050620_664_273p

  • [佳]  白鳥 - Nizzzy  (2005-06)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


白鳥

  Nizzzy




複雑に組み重なった、紙芝居のような、
生まれる羽根の、あなた

わたしは言葉で、それに答えなければならない
____「あなたは角笛だった」と、

望むことなく青かった、空


わたしのいない土地で、
地上の樹には靴が掛かっていた
そしてそれは、異邦人の戦略だった

わたしを睨みつける。向こうから、

ノコギリ引きの、空がやってきた
僕らから輪郭を千切りとった、鈍角の

胴体を奪われた、白鳥の群れ
どの空にでも舞う、あなたに届くことのない、起点

僕らはそれを、待っていたはずだった
こうやって、言葉にするまでは

「私の中の双子が歩き出す。雨の中を、寄り添いあって。」

ようやく抜け落ちた、その音素
器の中で混ぜ合わされた、新しい星座

それは結び付けられる。痕跡に添って、

その無尽蔵な、あなたの、
延長されていく、黒い滑走路
異邦人の目指す終着地


樹の下には、あなたが埋まっている
だがそこは田園なのだ、喜ぶべきことに

あの頃。角笛の中で話しあった、裸足のままの、

望むことなくあった、星空、
ようやく抜け落ちた、その言葉、
樹の下で重なり合った、全て

二人して、白鳥のように

文学極道

Copyright © BUNGAKU GOKUDOU. All rights reserved.