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作品 - 20050225_606_90p

  • [佳]  紙の家 - みつべえ  (2005-02)

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紙の家

  みつべえ

指、夜のうすい被膜を
ひっ掻いて、ひっ掻いて、
わずかな肉と貧しい血のぬくもり
銀色の、穴のなかの森へ
捨てに行くのを誰かに見られた?
うすらあおい雪の層に
まだ熱い、恥辱と凶器を埋めた?
よく冷えた父の骨灰を寝床に撒いて
眠りたくない、ふっと気がつけば
丘の上で洗濯している母
どうしても背中しか思いだせない妹
あっ、ああっ
逃げだした拍子に金屏風をふみ破っちゃった
階段から落っこちちゃった
台所の床は水浸しで、銀色の
穴のなかの森から
ヤマオニユリの大群生つながって
壁のやぶれから花火のように
突入してくる、のたうって、ぐちゃぐちゃに
気をつけろ、離れるな、お箸を忘れずにね
みんなの声が交叉して
みんなの影が大きくなったり縮んだり
ゆらゆら
ゆらゆら
電灯の下の、食卓の上の
紙の家

文学極道

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