とてつもなく長い椅子がさらにとてつもなく伸ばされようとしている
ホームベーカリーでこんがり焼け上がったフランスパンのまえで
彼女が少しもバターを使おうとしないわけはエゼキエル書25章17節の裏っかわに書いている
テーブルには果肉がたっぷり入ったイチゴジャム
その横にすっかりさめてしまったカボチャのスープ
主人の帰りを待つ美しい妻は、股間あたりをういんのごとくういんして真剣に悶えている
神:あなた投げたパイはこの金のパイ、それともこの銀のパイ?
私:はい、そのエンゼルパイです
神:あなた突然、神に話し掛けられてもちとも動揺しない、見込みちょとあるね
私:失礼ですがどちらの国の?
神:インドの山奥のほ
私:日本語お上手ですね
神:ありがと、日本来て10年だもんな
私:なんでまた?
神:アメリカに大学行くか日本に大学するか迷てんけど、日本来たもんな
私:え、何歳の時に来たんですか?
神:18、ハイスクル出てすぐ
私:なんでまた日本に
神:わたし国、そのときどきで日本人気あったな
私:ほー、それでどちらの学校に
神:おいたの立命館
私:大分ですか
神:あなたおいた知てるのか、ぺぷ温泉あるもんな
私:行ったことはないですけど、有名ですね
神:わたし温泉のバイトしてた、たちばな旅館、べぷの
私:なにやってたんですか
神:風呂場掃除だもんな
私:大変そうな仕事ですね
神:めちゃ大変やん、めちゃ朝はやいだもんな
私:日本に来たときは、日本語はどの程度?
神:いっこもやん、こにちは、と、ぼてぼてでんな、くらい
私:いろんな方言が混じっているような気がするんですが
神:日本のともだち、たくさん作たもんな
私:大分の大学でですか
神:うん、それと、たちばな
私:あ、旅館の
神:そうな、たちばな、みんなやさしかたな
私:家族経営ですね
神:そうな、3人姉妹、みんなめちゃ美人
私:おー
神:わたしの日本での初恋やもんな、ちょじょのほ
私:長女ですね
神:ちょじょ、めちゃ美人やもんな
私:次女は?
神:じじょ、めちゃ美人やもんな
私:じゃ、次女でもいいじゃないですか
神:ちょじょのほが、ちょっと美人やもんな
私:三女は?
神:さじょは、めちゃ美人やもんな
私:じゃ、三女でもいいじゃないですか
神:ぶちゃけ、どれでもよかたな
私:告白したんですか?
神:したもんな、おかみさんに
私:え、なんでまた女将さんに
神:ぶちゃけ、どれでもよかたもんな
私:それで、どうなったんですか
神:そっこでOKでたもんな
私:え、付き合ったの?
神:これは不倫だもんな
私:ばれなかったんですか?
神:付きあて、次の日にそっこでばれたもんな
私:早すぎるでしょ
神:わたしそっこでおいた逃げたもんな
私:学校は?
神:そのときどきでちゅたいしたもんな
私:それで
神:東京きた
私:東京ですか
神:なにも知らないのに、システムエンジニアしたもんな
私:働いたんですね
神:うん、めちゃちっこい会社に、たちばな企画
私:また、たちばなですか?
神:ぐぜんやろ、べぷのたちばなとはかんけなかったやろ
私:そこではちゃんと働いてたんですか
神:しゃちょのひしょ、めちゃ美人やもんな
私:あれ、もしかして
神:そっこでOKやもんな
私:付き合ったんですね
神:付き合って、そっこでばれたもんな
私:逃げた、と
神:わたしそのときどきでそっこだたもんな
私:女癖悪すぎるでしょ
神:ぶちゃけ
私:どれでもいいんでしょ
神:めちゃ美人やもんな
私:女の話以外になにかあります?
神:こないだ、きょとに行てきたもんな、仕事で
私:仕事してるんですね
神:しつこくシステムエンジニアやてるもんな
私:というか神様なんでしょ
神:まぎれないもんな
私:仕事しなくていいでしょ
神:仕事すきなめんは確かにあるな
私:なんか願いとか叶えてくださいよ
神:あなたはどな願い持てる?
私:そうですね、恋人が欲しいです
神:どな、めちゃ美人の?
私:容姿のこだわりはないです
神:そっこでOKやもんな
私:いや、意味わからないです
神:ふつのほやもんな
私:わからないけど、たぶんそれでいいです
神:じゃ、明日家に待てて、じゅしょをこの紙に書いて
私:ありがとうございます
神:楽しみがいこにこふえたもんな
わたしは、紙に嘘の住所を書いたので
本当に次の日にそのふつのほの女性が来たのかどうかわからない
そんなことより、妻がずっと股間をういんういんしてる
気持ちいいのかどうか知らないけど、あれ、なんとかならへんかなと
思いながら、腹式呼吸の夜行虫が空を飛んでった
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20121024_185_6433p
- debaser :
ゴルコンダに投稿したつもりになってたんですが
投稿されてなかったので、ちょともたいなかたので、ここに投稿します。 ('12/10/24 18:53:21)
- 勇者 :
うっかり読んでしまった。
やり方が巧いんじゃないかと感じるのは街中な怪しい感じが目に滲むせい。これでも法治国家。
毎晩飛んで帰る虫がいるとおもうなも気炎も青息虫の息(知らない)は、思うよりは長いらしくなにより気は心。あなたがいけないのよ、とかいろいろな意味で今夜妻とふう。(セガミ薬局)ラストこそ結構嫌いじゃない。現実続ける努力を要する営みに、憧れる者がいることも然り。
さまよう鎧:「・・・」(ああ、HPが足りなくなってきた・・・俺に元気をわけてくれ)
気にしないでください。 ('12/10/24 20:06:29 *1)
- ズー :
こんばんは。
インドカレーのお店にいきインド人の従業員にオマエマダナンイルカとため口の接客をされると、へへへとしか言えないわたしはこれを批評できる人っているのでしょうか?というとても短くてどうでもいいような感想しかでてこなかったです。いやはや。 ('12/10/25 21:14:24)
- ヨルノテガム :
あ ども おもろかたです
現実と神と夢見心地なコント漫才な感じ。w
お話的に見ると 妻がういんういんしてる間に 束の間、夫の疲れ眠りに見た夢ナ
感じのバカな設定を思いました
神〜インド〜SE〜地方大分留学〜温泉〜三姉妹〜告るのはおかみさんかいっ!
ちょっとしたリアルと、少しズレタ人達との生活。
なんか スパイスがたらんなぁ という現実の面白く無さをぼんやりおもたよ
電マってプラトニックとは対極の 外人を見るような明るい滑稽さがあるなぁと。 ('12/10/26 10:27:24)
- debaser :
勇者さん
うっかり読ませてしまい、どうもすいません。
しかし、このてのものは、うっかり読まれてなんぼなんでしょうね。
会話文以外は後付けで足しました。
導入部がこんな感じだと、何人かは最後まで読んでくれるんじゃないかと思いました。
ズーさん
タイトルの前に【批評対象外】とでもしといたほうがいいんでしょうかね。
このての、「どや、おもしろいやろ」と土足で語りかけてくるようなこてっとしたものは
自分自身苦手なとこもあるんでよくわかるんですが、書いている本人だけ
おもしろいという、周りからすると、これはちょっと困ったぞ的な。そんなとこでしょうか。
ヨルノテガムさん
そうですね。電マって、なんか突き抜けた明るさがありますよね。
会話文については、もうちょっとキレが欲しいなと今になって思います。
そういえば、昨日、新大阪駅でU字工事のスポーツ刈りの人をみました。
声はかけませんでしたが、全体的にエロい雰囲気でした。
帰って小2の子に、漫才師を見たよと伝えると
「誰?ハイハイ?ピース?」って言われました。 ('12/10/26 15:51:19)
- レフ :
なんというか、
詩のかたちを借りた、詩のような何かなんだろうな、という印象を受けました。
(もちろん、だからダメだとか、だから良いという意味ではありませんよ)
ただ、
こういう作品は、あってもいいけど、なくてもかまわないかな、というのが
あたし個人の本音の意見です。 ('12/10/27 21:22:17)
- debaser :
レフさん
あってもいいけど、なくてもかまわないかな
というのは同意見です。でも、だぶん、ないほうがいいと思います。
ありがとうございます。 ('12/10/29 15:31:52)
- ヨルノテガム :
さてさて 午前中に読み返してたんですが
読めばよく出来ているなぁ と思ったところを書き出していきたいと思います
気になっていたのは 腹式呼吸の夜光虫 という部分で
僕は前の感想で 夢と現実の区分けをして プラトニックなものをこの主人公の夫は
もとめているんじゃないかなと推測していました
>その横にすっかりさめてしまったカボチャのスープ
美しい妻との現実 →すっかりさめている
夢のような神インド人との会話 →無意識になのか 容姿にこだわり無く ふつうの恋人を求めていると告白
夢から覚めて 妻の現実を見るとき どうにかならないかな と腹の中、本心ではそう思っている
こういう風に区分けすると構成的に一貫しているように思えて
細かい発想された言葉たちが意外に 直観的によく捉えられているなぁ
と感心した次第です
題名の あなたにパイを投げる人たち というのも(共通のお題だったのかな?他のひとのでも見た気がしたので)
最初は クリームのパイを顔に投げつけるアレなんかいなぁ と思ってたんですが
マージャンなんかの配牌を思い 何かのカードを切ってくる人と考えてみると
この夢の中のひとのような 神のインド人は 現実の主人公わたしに対して とても自由で魅力的に映りますよね 女に対しても身の振り方にしても機械でういんういんしている自慰的な狭い生活よりも 「時々で速攻」変化している生活を送っている
もしこの神との会話が わたし、夫の夢の中の出来事であれば
「自由」という牌を何度も配られているのに踏み出せない 願望だけが具現化したような夢物語を見ているなぁと言えるし 夜光虫 という響きもまた詩的に凝縮された果かない日本的な妄想虫を思わせて 夜にしか腹式呼吸のできない虫 腹を割れない虫 という意味で 不満な現実にまた帰っていく様子が見て取れる
>とてつもなく長い椅子がさらにとてつもなく伸ばされようとしている
身をあずけられるリラックスした精神的なものが 表象へ表れるべく
準備を始めたような表現で良いナと
ま こんなとこでした
そう思えば 無駄なく雑音無く書かれたと見えるし 表現の面白さを見て取れました ('12/10/30 19:27:53)
- 666 :
読みながら追加されていく情報によって、自然と自分自身が理解しやすく・納得できるような関係を「主人・妻・神・私」に当てはめていってしまったようで、神が女性だったと判ったときには頭がぐぅわらんと揺れました。
私の場合は、不在であった「主人」が「神」であると想像しながら読み進めたので、神が女性ならば登場人物が全員女性?という混乱に眩暈がした模様です。
ちょっとした一文を、それぞれ「女性が言いそう」「男性が言いそう」と判断しながら人物像を補完していったためであると思います。
私は、エンゼルパイを投げるのはやはり女性だろうという最初からの思い込みから始まったので、「私」が「主人」であり男性であると思いながら読んだ方よりも衝撃が大きかったのだと思います。
その混乱を鎮めるために、再度確認しながら読み直したわけですが、私が見事に思い違いをしていく様を確認するたび、とても面白く出来ていることが解り楽しかったのです。
しかし、最後の
>>腹式呼吸の夜行虫が空を飛んでった
という文が、初読では、余韻を残すためのいかにもな詩文のように思えていたものが、読み直しによって『昆虫って腹式呼吸なんだ?』という現実的な興味にすり替えられてしまったため、それまでの混乱に乗じた面白さまでもがお株を奪われたようになってしまいました。
初読では、「現実だと思っていたら夢のような話だった」と思ったものが、読み直しによって「夢のような話だったけれど、やたらリアルな描写で終わった」というところに面白さを見出してしまった感じです。 ('12/11/06 02:25:24 *1)
- debaser :
ヨルノテガムさん、666さん
丁寧に読んでいただいてありがとうございます。
頂いた評を取り込んで、少しでもおもしろいものが書けるようにがんばります。 ('12/11/16 16:24:41)